ドラックストアや薬局だけでなく、コンビニにも並ぶデオドラントスプレー。その裏面には「ワキガ」とあるのですが、実際に使うと「変わらない」と感じることはありませんか?
この市販のデオドラントスプレーは効果がある人とない人に分かれる事から、においに悩む人の間でも賛否両論があるようです。果たしてワキガに本当に効くのか、効果はないのか等気になる事についてまとめました。
目次
デオドラントスプレーはワキガには効果が薄い?
通常の汗は無臭ですが、洋服の繊維や肌の汚れで汗くささを感じることがあります。ワキガの場合、アポクリン腺からの汗と皮脂腺の皮脂が混ざりあい、それを雑菌が餌にしてワキガ臭となります。一般的なデオドラントスプレーは、噴射による冷却効果で肌を引き締めパウダーに含まれる成分が密着して制汗と消臭をしてくれます。
無臭のエクリン腺の汗は、これで落ち着きますが、粘りのあるアポクリン腺の汗はパウダーを溶かしてしまうために一旦は消臭することができますが持続性がありません。粘りけのある汗と皮脂は、時間がたつと雑菌が餌にして繁殖を繰り返すので、スプレーをしては抑えを繰り返さなくてはならないのです。
雑菌と皮脂が混ざったワキガは、空気に触れて酸化を繰り返す為に、雑菌がどんどん増えていきます。無臭の汗を抑えるデオドラントスプレーも、ワキガのように雑菌や皮脂が原因の汗を完璧に抑え込む事はできないのです。
それはワキガの原因菌をしっかりと殺菌する成分がデオドラントスプレーに含まれていない事が原因です。デオドラントスプレーのパウダーは、アポクリン腺の汗には弱く、すぐに溶けてしまうのでにおいが戻ってワキガを抑えきれないのです。
デオドラントスプレーは、非常に安価でどこでも手に入れられるものです。かえせば「どんな人も気軽に使うことができる」商品でもあるわけです。そんな一般向けの安価な商品の成分に、ワキガを消臭したり抗菌・殺菌できる効果は期待できません。
デオドラントスプレーは肌が乾燥し臭いの原因になってしまう恐れが…
デオドラントスプレーは、パウダーが噴射して肌に密着するようになっています。パウダーは皮脂や汗を一時的にはカバーしますが、汗が出ると乾いていきます。そうなると肌は潤いを失い、余分な皮脂がどんどん生まれる事にもなります。
肌を引き締めることは、制汗には必要な事ではあるのですが、それによって乾燥が進んでしまうとにおいがより強く生み出されることにもなってしまうのです。
しかもスプレーだとワキガ以外の新たなにおいを生み出す事も
安価なデオドラントスプレーは、学生を始めとして社会人にも人気があります。デオドラントスプレーも薬用クリームも「瞬間的な消臭」効果は大差がないのですが、制汗効果に大きな違いがあります。
消臭するには、汗を先ずは抑えるだけでなくスプレーしてから「出ないようにする」事が大切ですが、冷却して肌をパウダーで乾燥させているわけですから、肌は潤いを無くしてしまい今度は皮脂が冷えてしまいます。
瞬間的な抗菌効果はあっても、皮脂がどんどん生まれてしまうとそれが薄れてしまい、汗と皮脂、スプレーのパウダーが混ざり込み新たなにおいを生み出す事もあります。火傷を冷やすと瞬間は痛みが消えても、後でズキズキするのと同じで「ごまかす」事でにおいレベルを下げる効果しか期待できないのです。
ワキガ臭をデオドラントスプレーで誤魔化すと悪臭になってしまう
デオドラントスプレーの中には、無香料のものだけでなく「爽やかなグリーン」「石鹸の香り」など女性が喜びそうな爽やかな香りのものがあります。エクリン腺からの汗であれば、これもやわらかで女性らしい感じがしまうが鼻をつくようなワキガのにおいと混ざってしまうと途端に悪臭に変化します。
これはスプレーのにおいがワキガと混ざるだけでなく、パウダーで汗腺を防いでしまったことで上手く殺菌作用が起きず垢となって、においを生み出してしまうからとも考えられます。
香水やフレグランスほど香りは強くはありませんが、におい混ざりはワキガ臭をさらに強く感じることになるので気をつけましょう。
ワキガは香りで誤魔化すようなパウダースプレーは不向き
パウダースプレーの中には、無香料のものもありますが清涼感のある香りで汗のにおいを誤魔化してしまうものもあります。強いにおいは、それに以上に強い香りがあるものでないと完全に消すことはできません。海外では体臭を誤魔化すために強い香水をつけますが、とても良いにおいと感じることはないでしょう。においは、香りで誤魔化すようなことをしても根本的な解決にはならないのです。
においを消臭するだけでなく、生み出さないようにすることがワキガには大切です
デオドラントスプレーは「臭っている肌」に働きかけますが、その後からどんどん生み出されるであろう「においの元」には効果がありません。汗はじっとしていても微量ですがかくもので、わきがの場合も同じこと。
その汗がしっかり抑えられている事に加えて、雑菌をしっかり死滅させ抗菌することでにおいは完全に消えていきます。表の雑菌だけを、デオドラントスプレーで殺菌できても肌の奥からにじみでる雑菌はどうでしょう。冷却していったんは制汗できた肌も、汗でパウダーが溶けてしまえば効果はそこで失われてしまうのです。
デオドラントに求められるのは、一時的な効果ではなく持続性が高いことです。デオドラントスプレーの弱点は、持続性の弱さであり繰り返し使うことで消臭はできるものの乾燥も生み出してしまう弱点があります。
この持続性の弱さをカバーできるのは、汗や皮脂をガードする油脂の力。だからワキガのデオドラントには、消臭・抗菌成分が豊富で毛穴や汗腺・皮脂腺を自然に引き締めることができる薬用わきがクリームが良いのです。
デオドラントスプレーの成分分析
クロルヒドロキシアルミニウム
スプレータイプの制汗剤には塩化アルミニウムが中心でしたが、最近はクロルヒドロキシアルミニウムを使っています。制汗剤としての効果は先ず先ずですが肌への刺激が弱く安全性が高い成分です。
アルミニウムは、汗と混ざると水酸化アルミニウムに変化して汗腺に蓋をして汗が出ないようにします。確かに汗は止まりますが、ワキガのにおいの原因を殺菌する力はないので、においを抑えるまでにはいたりません。
塩化ベンザルコニウム
消毒薬として使われているので、雑菌効果も十分にあります。
細菌の細胞膜のタンパク質を変化させ活性化しないようにするの事で、雑菌効果が高いとされています。
濃度が薄いものは、副作用は特になく塩化ナトリウムよりは安全性が高いと言われています。殺菌効果は高くても、デオドラントスプレーには大量には配合できませんので効果の持続性には不安があります。
銀イオン
除菌と消臭効果が高く、現在はナノ化した銀イオンをデオドラントスプレーに配合する事でにおいをたちどころに消してくれます。
スプレータイプのデオドラントの中ではもっとも効果が期待できますが、長期間の使用は肌荒れなどを起こす可能性がありますので気をつけましょう。
スプレーとワキガに効く薬用のデオドラントクリームとでは、有効成分が異なります
スプレータイプのデオドラントには、消臭や制汗効果のある成分が確かに含まれています。そうでなければ消臭スプレーとして販売はできませんよね。薬用のデオドラント剤には、肌に優しく消臭効果の高い成分が1種類ではなく、何種類も含まれています。中でも雑菌効果の高いイソプロピルメチルフェノールや、においを作る汗を抑えるパラフェノールスルホン酸亜鉛等が含まれているのが特徴的です。
そしてこれらだけでなく、天然由来の消臭や雑菌成分等を組み合わせる事により「肌に優しく寄り添う薬用クリーム」として生まれています。効果が高く人気のあるクリームには、この2種類をメインとして作られています。
有効成分がデオドラントスプレーには含まれていない事が、ワキガのにおいがしっかり消せない理由なのです。
汗をかいた時に、独特なにおいがするかしないかも大切
デオドラントスプレーの中には、薬用クリームまではいかなくても消臭効果が持続するものもあります。
ですが効果的な成分を使っていても、それが持続性がなくてはにおいに悩む人は満足する事ができません。
一時的な消臭や制汗にはスプレーのデオドラントは向いていますし、通常は汗をかかない人であれば効果を感じるかもしれません。
脇汗をかいた時に、どれだけ消臭できているかがデオドラント剤には求められているのでないでしょうか?
それがデオドラントスプレーでは感じられないので、薬用クリームが選ばれているのです。
ワキガのにおいをしっかり抑えるなら薬用デオドラントクリームがベスト
スプレーのデオドラント剤は、手を汚さずに簡単消臭するだけでなく「誰でも使っている」ので自分がワキガだと悟られる心配がないというのメリットです。
薬のようなにおいがすると「なんでそんなものを使ってるんだろう」と思われたり、「もしかして体臭きついんじゃないの?」と勘繰られてしまうのではないかと気が気でなりません。
誰もが使用しているから、自分がワキガなことを隠せるアイテムなのですが持続性が弱く、長期使用すると肌が乾燥してしまったり荒れてしまい使えなくなるかもしれないデメリットも持っています。
薬用クリームは、強いにおいに悩んでいる人が長期的に使用できるように無添加で肌に優しく、潤い成分を配合しています。
デオドラントスプレーでは、乾燥してしまうデリケートな肌を優しく保護してくれるので、効果をじっくりと感じることができます。
ラポマインやノアンデなど、白のデザインで人気のものもありますので、デオドラントスプレーではなく薬用クリームを使用し気になるにおいケアを始めましょう。
薬用クリームが気になる方は「ワキガの薬ランキング!最強の薬はどれ?気になるワキガ薬を集めました」を参考に自分にあった薬用クリームを見つけてみてください。
ワキガ(腋臭)のデオドラント対策は限界が…そんな時には手術を考えてみよう
薬用わきがクリームも非常に優れたものがどんどん発売されるようになり、デオドラントスプレーでは感じなかった高い効果を得ている人も多くなりました。ワキガはアポクリン腺の本数や太さによって、においに強弱があります。
そのために「思ったほど臭いが改善されていない」とガッカリする人も中にはいます。どんな効果のある薬用わきがクリームでも「すべてのワキガが完全に消臭できる」わけではありません。
食生活が脂質が多いものを好めば、皮脂分泌も盛んになりますのでワキガ臭も強くなることもあります。一度発達してしまったアポクリン腺は、食生活を改善しても縮んだり細くなることはないので、食生活や生活習慣を改善しながらデオドラントを行っても「完璧」とはいかないでしょう。
手術には確かにリスクもありますが、汗腺を少しでも取り去ってしまうことでにおいを軽減することも可能です。ワキガ治療も進化し、「切らない治療」(ウルセラドライ・ミラドライ・ピューホット)で術後のリスクを軽減できるようにもなりました。
病院での治療も、その人のアポクリン腺本数によってどこまでワキガを治すことができるのかも異なります。ですが、デオドラントだけではワキガを完全に抑え込むことができずに、日常生活や仕事に支障を感じるのであれば検討してみても良いのではないでしょうか。
持って生まれたアポクリン腺は、なにもしなくては一生そのまま持っているものです。病院での治療のすべてが手術ではありませんし、高度な機械をつかってアポクリン腺の除去を行うこともできます。
になってしかたがない。でも手術のリスクを考えると二の足を踏んでしまうのなら、どちらも「ワキガを軽減するためにやること」と考えればいいのです。
多くの病院では、リスクの高い手術よりも最新の機械を使った治療をすすめています。この二つを行うことで、今まで「一生ワキガで苦しまなくてはならない」自分と別れを告げることができます。あくまでも選択肢の一つではありますが、「デオドラントがあるから手術は必要ない」ではなく「手術をすることで、デオドラント効果がより高くすることができるかもしれない」と思えば良いのです。
絶対に手術が必要とは思いませんが、デオドラントだけでは限界を感じてしまったり「もっとしっかりとワキガを治したい」「ワキガと共存するために」の方法として頭の隅に入れておいていただきたいのです。
最近はデオドラントスプレーを出していたメーカーも肌に直接塗れるロールオンタイプを販売してします。
見た目が変わっただけで、成分が大幅に変更されているわけではないので、使い方が違うだけで効果は同じです。
無臭タイプのスプレーが人気ですが、パウダーが広範囲に広がる事で汗を抑える範囲も広いのですが「汗が多い」場所だけに噴射が難しく何度もスプレーすると、においで蒸せてしまいますね。
ロールオンの方が直接肌に塗れるので効果も持続しますが、問題はその成分です。